Cosmopolis / 2012 / フランス・カナダ
数年前にデリーロの『コズモポリス』を読んだときには表象と実在というようなことを考えたのだが、原作にかなり忠実な映画化であるらしいこの作品でもやはり同じようなことが浮かび上がるようになっている。とはいえ、映画で特に印象に残ったのは別のことだ。まず、リムジンで移動していて、窓の外ではいろいろなことが起こり、リムジンにも次々と人が訪れるにもかかわらず、移動じたいや時間が感じられないこと。それに、左右比対称があちこちにちりばめられていることだ。それと意外にもクンデラの『存在の耐えられない軽さ』を想起したこと。当然、「アメリカン・サイコ」や「ホーリー・モーターズ」を思い浮かべてしまうけど、この映画に比べれば、どちらもまだある種の「重さ」がある気がする。
まさか台詞にアウグスティヌスからの引用が出てくるとは思わなかったけれどもw
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