「世代間格差」とそれをめぐる言説に触れる度にかすかな違和感がきざす。
全体を俯瞰して一般化すれば、そうした状況把握は的を射ており、再分配
について見直しをはかり、システム全体を再構築する必要はあるだろう。
それでも、である。
お年寄りも若者も、それぞれ単体として存在しているわけではない。
たいていの人には、現状が単身世帯であっても、親があり、祖父母があり、
子があったり、孫もまたあったりするであろう。その中で、余裕のある年長
の世代はおそらく折りにふれて家族内の年少の世代を援助するだろうし、
裕福な年長世代が亡くなって、その資産を引き継ぐのはより若い世代で
ある。それは、家庭内とはいえ、まぎれもなく世代間の再分配であり、
だとすれば、あるのは世代間間格差などではなく、やはり格差の相続
(固定化)ではないのか、と思ってしまうのである。
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