8月の読書メーター
読んだ本の数:15冊
女の二十四時間―― ツヴァイク短篇選 (大人の本棚)3つの短篇はどれも一時の熱情に(ときには無力に)翻弄される人々を描いている。「書痴メンデル」、「チェスの話」もそうだが、人が熱情に浮かされていく様を描くときの緊張感がすごい。これは短い文章の連続と自由間接話法のなせる技だろうか。
読了日:08月31日 著者:
S.ツヴァイク
サッカーの敵サッカーを観るとその国が見える。たかがサッカー、されどサッカー。同じ白水社から出ている『サッカーが世界を解明する』もおもしろいよ!
読了日:08月30日 著者:
サイモン クーパー,後藤 健生
チューダー王朝弁護士シャードレイク (集英社文庫)チューダー朝イングランドを舞台として歴史ミステリ。『薔薇の名前』よりはカドフェル・シリーズに近いかな。ミステリとしてより、当時の暮らしぶりや宗教改革の一端がかいま見られて興味深い。
読了日:08月27日 著者:
C・J・サンソム
サスペンス映画史大変に示唆に富んでいて興味深かった。ヒッチコック亡き後、クリント・イーストウッドがサスペンスの後継者であるという展開には、イーストウッドの映画をあまり観ていないので、最初はピンと来なかったが、読み進むうちに、ほぉ、なるほどね〜。サスペンス映画の歴史というより、映画(史)をサスペンスというキーワードで読み直す試みなのかな。フリッツ・ラングをまとめ見直したくなった。
読了日:08月25日 著者:
三浦 哲哉
邪魔をしないで (1981年) (Hayakawa novels)まさしく「シュレディンガーの猫」。もっと結末に向かって緊迫感が増して行くような展開かと思っていたのだけれど、意外や意外、物語は使用人たちの用意周到さ、ふてぶてしいほど(恐らく)普段通りの言動に終始する。さすがにスパーク、ブラックだ。説明が切り詰められていることも、舞台を見るようなおもしろさを際立たせている。
読了日:08月23日 著者:
ミュリエル・スパーク
ナチスのキッチン読了日:08月22日 著者:
藤原 辰史
わたしの物語 (創造するラテンアメリカ)セサルちゃんくんの自分語り。?マークがたくさん頭に浮かぶ「ずれ」ぶりだが、ページを繰る手がとまらなかった。ラストでちゃんと円環が閉じたことが信じられないほど。なんとなくだけど、ほんとは「言葉」についての作品のような気も(自信なし)。おもしろかった。
読了日:08月17日 著者:
セサル・アイラ
中国現代文学 9莫言「普通話」、残雪「鹿二(ルーアル)の心配」所収。「普通話」は北京語を基本とする、いわゆる標準語を推進する女教師を中心に山村と都会を描く。言語政策そのものもだが、政策のあっけない変転の背後に透けて見えるものが不気味だ。「鹿二の心配」は虚空を見てしまった鹿二が主人公なのだが、その心配をよそに周囲はあいかわらず残雪らしく謎めいている。他に「鬼節」の鄭小驢がよかった。
読了日:08月16日
屋根裏プラハビロード革命以前からプラハにアトリエを構える著者が時間と場所を縦横に行き来しつつ綴るプラハの変遷。変わりゆくもの、変わらぬもの。ただの旅行者でもなく、かと言って居住者でもないまなざしが瑞々しい。
読了日:08月13日 著者:
田中 長徳
晩夏の犬 ローマ警察 警視ブルーム (ヴィレッジブックス)読了日:08月09日 著者:
コナー ・フィッツジェラルド
夜毎に石の橋の下でさながらプラハ版千夜一夜物語の趣。16世紀プラハを舞台としたそれぞれのエピソードがとにかく魅力的。連作短編集なので、全体をひとつの物語としても楽しめる。物語を語り終わった後の後日談のようなエピローグが物悲しい。
読了日:08月08日 著者:
レオ・ペルッツ
闇と影 (下) 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕読了日:08月05日 著者:
ロイド・シェパード
闇と影 (上) 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕読了日:08月04日 著者:
ロイド・シェパード
運転席 (1972年) (ハヤカワ・ノヴェルズ)会計事務所に勤めるリズが休暇で外国に出かけていき...と、あらすじはネタバレになるのでほとんど説明できないのだが、冒頭の旅行のために洋服を買うシーンから、何かが起こるぞ、起こるぞという不気味な緊張感が持続したまま、ラストに向かって一気に疾走するスピード感がすごい。絶版だけど、ぜひ多くの本好きさんに読んでみてもらいたい小説です。
読了日:08月02日 著者:
ミュリエル・スパーク
黄金の少年、エメラルドの少女孤独で、生きづらさを抱えつつ、ちょっとしたことを支えにしてまた毎日を生きていく人々の姿を描く。置かれた状況はさまざまで、読み手のそれとも異なるけれども、「ああ、人ってこうしたものだよなぁ」としみじみ。「優しさ」が特によかった。ところで、「獄」だが、ちょっと前にLOW AND ORDERで代理母側の犯罪を描いたエピソードを見てしまっていたせいか、それほど衝撃的でもなかったかも。
読了日:08月02日 著者:
イーユン リー
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