2012年12月の読書メーター読んだ本の数:13冊
チボの狂宴の
感想重い、読むのが辛いと思いつつ読了。多数の視点が最後に収斂するというのはよくある手法だけれど、じりじりするような暗殺者達の視点を組み込んだことで、1日のできごとでありながら時間の流れに緩急をつけたところが見事。ウラニアの伯母の「そういう時代だったのよ」という一言が澱のように胸に沈む。
読了日:12月4日 著者:
マリオ・バルガス=リョサ
現代ラテンアメリカ文学併走の
感想こういうガイドブックはありがたいと同時に、恐らく紹介されている本ですら生きている間にすべて読めるようにはならないだろうと思うとやるせない。今からでもスペイン語を学ぼうかしら。
読了日:12月6日 著者:
安藤哲行
船の救世主の
感想沈んだ船を引き上げる作業の監督をしている主人公の海軍大将は首都に戻って心理検査を受けることになる。「異常」と評価されることを恐れる大将は心理学の本を読むために図書館へ出かけて行くのだが、そこで奇妙な男からわけのわからない冊子を手渡され、それ以降その男に悩まされることになり… 奇妙な、謎めいた中編。切り詰められた文章は『その時は殺され...』 同様だが、クセになる。
読了日:12月8日 著者:
ロドリゴ レイローサ
十二の遍歴の物語 (新潮・現代世界の文学)の
感想美しくてもの哀しい12篇。久々にガルシア=マルケスを読んだが、つくづくうまいよねえ。ガルシア=マルケスの中では今の私はこれがいちばん好きかもしれない。
読了日:12月10日 著者:
G.ガルシア マルケス
無声映画のシーンの
感想30枚の写真から語られる静謐で美しく、少し物悲しい小説。子供の頃の写真を取り出して眺めたくなる。
読了日:12月14日 著者:
フリオ・リャマサーレス
ウェイクフィールド / ウェイクフィールドの妻読了日:12月14日 著者:
N・ホーソーン,E・ベルティ
葡萄色の死 (警察署長ブルーノ) (創元推理文庫)読了日:12月19日 著者:
マーティン・ウォーカー
小鳥の園芸師 (1982年)の
感想風変わりな職業を描く掌編集。悪意ともブラックユーモアとも、残酷な童話ともとれる味わい。
読了日:12月20日 著者:
トニー・デュヴェール
殺す・集める・読む―推理小説特殊講義 (創元ライブラリ)の
感想さすがに学魔のミステリ論。ホームズからマニエリスムにいくとは普通は思わんわなー。雰囲気としては、ケイト・サマースケイルの『最初の刑事: ウィッチャー警部とロード・ヒル・ハウス殺人事件』を面白く読んだ人なら楽しめるんじゃないかしらん。
読了日:12月21日 著者:
高山 宏
現代ラテン・アメリカ短編選集 (1972年)の
感想1972年出版だからラテンアメリカものとしてはかなり早い時期に翻訳された短編集ということになるだろうか。大御所も名を連ねるが、イスパノアメリカだけでなく、ブラジルの2人も紹介していて、なかなかバランスがとれている。私としては目当てでもあったフアン・ホセ・アレオラの「転轍手」がカフカっぽくてやはり一番だった。
読了日:12月25日
切り裂き魔ゴーレムの
感想高山宏『殺す・集める・読むー推理小説特殊講義』で言及されていたので読んでみた。連続殺人事件を中心に史実と虚構を織り交ぜつつ19世紀ロンドンの猥雑な雰囲気を描く。さまざまな視点や日記、裁判記録などを配する洗練された作品だけに、終盤の展開には不意を突かれた印象(いい意味で)。おもしろかった。
読了日:12月26日 著者:
ピーター アクロイド
終わりの感覚 (新潮クレスト・ブックス)の
感想サスペンスとしてもおもしろく、端正な記述でありながら、人の記憶がいかに当てにならず、というよりはむしろ、人はいかに自分に都合良く記憶をねつ造するか、そして、そんな不確かなものに基づいて他者を世界をいかに恣意的に解釈するかを容赦なく書ききっている。「歴史とは、不完全な記憶が文書の不備と出会うところに生まれる確信である。」
読了日:12月27日 著者:
ジュリアン バーンズ
魔術的リアリズム―二〇世紀のラテンアメリカ小説 (水声文庫)読了日:12月31日 著者:
寺尾 隆吉
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あけましておめでとうございます。
今年もすてきな本に出会えますように。
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